記事: 誰もが、削る楽しさを。安全ナイフ開発の物語

誰もが、削る楽しさを。安全ナイフ開発の物語
刃物を、もっと身近な存在に。

木を削る。自分の手で形をつくる。
それは、子どもにとっても大人にとっても、夢中になれる体験です。
FEDECAでは2016年ごろから、木を削ってスプーンやお箸などをつくるワークショップを開催してきました。
そこで気づいたのは、刃物で木を削ったことがない子どもたちが増えているということ。そして、刃物に慣れていない大人も少なくないということでした。
刃物は便利な道具である一方、使い方を誤れば怪我につながる危険もあります。
だからこそ、刃物を遠ざけるのではなく、正しい扱い方を学びながら、安心して挑戦できる環境をつくりたい。
そんな思いから生まれたのが、FEDECAの「安全ナイフ」です。
誰もが、刃物に親しめるように。

安全ナイフの開発で、最初に考えたのは、刃物に不慣れな人でも木を削る楽しさを体験できることでした。
そこで採用したのが、刃の周囲にガードを設けた構造です。
刃への不用意な接触を抑えながら、ガードの間にある刃で木を削ることができます。
そして、刃物の扱いに慣れてきたら、ガードを取り外し、クラフトナイフとして使うこともできます。
はじめて刃物を手にする人から、さらに木削りの技術を磨きたい人まで。
一人ひとりの成長に寄り添える道具を目指しました。
削ること、そのものを楽しむ。

木を削る楽しさは、自分の思うように刃を動かせるようになることで、さらに広がります。
そのために大切なのが、刃をコントロールする感覚です。
安全ナイフの刃の背には、親指を添えるための小さなくぼみを設けました。
親指を添える位置を意識しやすくすることで、刃の動きを自分でコントロールする基本を学べるようにしています。
また、木を気持ちよく削るために、刃付けにもこだわりました。
切れる刃物は、余計な力をかけずに木を削ることができます。
鋼材の研磨から刃付けに至るまで、いくつもの工程を重ねて仕上げているのは、木が気持ちよく削れる感覚を体験してほしいからです。
ただ安全性に配慮するだけではなく、刃物を使う楽しさをきちんと味わえること。
その両立を目指しました。
自分の道具に育てていく。

私たちがもう一つ大切にしたのが、道具に愛着を持ってもらうことです。
安全ナイフには、研ぎ直しながら長く使えるよう、鋼材に青紙2号を採用しました。
切れ味が落ちたら研ぎ、また使う。
そんな手入れを繰り返すことも、刃物との付き合い方を学ぶ大切な経験です。
さらに、木製のハンドルは、自分の手に合わせて削ることができます。

自分で使うナイフを、自分の手で仕上げていく。
そうして生まれた一本は、世界に一つだけの、自分の道具になります。
道具は、買ったときが完成ではありません。
使い、手をかけることで、少しずつ自分のものになっていく。
そんな喜びも届けたいと考えました。
一本のナイフから、次の「やってみたい」へ。

はじめて木を削ったときの、小さな感動。
思い通りに削れなかった悔しさ。
工夫を重ね、少しずつ形になっていく喜び。
その一つひとつが、次の「やってみたい」につながっていきます。
安全ナイフは、単に怪我のリスクを抑えるためにつくった道具ではありません。
刃物を知り、使うことを楽しみ、道具に親しむための一本です。
刃物を通じて、生きる力を取り戻す。
そんなFEDECAの思いを形にした道具の一つが、この安全ナイフなのです。
FEDECAの刃物教育への取り組み

FEDECAでは、学校での授業や木削りワークショップなどを通じて、刃物の正しい扱い方と、自分の手でつくる楽しさを伝える活動を行っています。

