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革職人正岡佑基のメッセージ ~ vol3 曲線を極める〜


ペンのように持ち、直線は定規を当てて、肘を引いて切る。曲線は手の中でナイフを90度左に回し、左から右に切る。

これまでにも動画で紹介してきましたが、このナイフは直線と曲線で持ち方が変わります。

レザークラフトナイフの使い方


直線のカットはカッターナイフなどとほぼ同じ感覚なのですが、やはりレザークラフトナイフの真骨頂は曲線のカット。曲線を自在に切るためのコツを、ちょっと詳しく解説していきます。


まず、レザークラフトで実際に求められる曲線のカットとはどんなものでしょうか?


そんなもの人それぞれなのは当たり前ですが、凸のR、正のRと凹のR、逆Rを比べれば、前者が多くなることがほとんどではないでしょうか。


そして、革から一つのパーツを切り出すとき、必要なパーツを自分側にして押さえ、不要な部分を外側に切り落とす。これも多くの人が直感的に行っていることだと思います。

これらの要求に答える自然な体の使い方が、自分の体を中心に、弧を描くように切ること。右利きであれば、左から右に、体の前をワイパーのように切ることになります。

実際には様々な大きさのR、それが変化しつつ組み合わさった曲線を切ることになりますが、それらに対応する二つの基本的な体の使い方を紹介します。



半径10㎝以上の大きなR

下腹に力を入れて脇を締め、肘は脇腹のやや前方に固定します。小指から手のひらの手刀部分にかけてを接地させて、体の軸を回して刃を運んでいきます。




半径10㎝程度までの小さなR

ナイフを持った手の豆状骨…と言ってもわかりませんよね。私もわかりません。手首というか、手のひらの一番下の、小指側の角にある出っ張りです。ここを作業台(の上の革)に押し当て、ここを軸にして手首から先を弧を描くように動かして切ります。脇は開いていてもOKですが、肘は意識して動かすことはしません。

人体にある二つのコンパスを、サイズの近いRに柔軟に当てはめていく感じです。

どちらの場合も、ナイフを掴む指でRのサイズ、断面角の微調整を行い、空いているほうの手はカット部分の近くをしっかりと押さえます。

視点はナイフの刃の向こう側から覗き込むように、刃が革に切り込んでいる地点と、これから切っていくケガキ線を見ます。なので、作業部分にかなり上体を乗り出す体勢になります。


この視点は、革包丁とは逆であるため違和感があるかもしれませんが、刃の近くを持ち、手首を接地させて安定させると、刃の内側は自分の手が邪魔で視界が悪いのに対し、刃の外側は遮るものが無く視界良好となります。


そして、視界と持ち手の形の両面から自然に生まれる、「垂直よりわずかに内倒し」のナイフの角度が、「反逆の刃付け方向」と相まって、垂直の切断面をもたらすのです。


もう一つ、これらの使い方に共通するポイントが、肘、肩によるコントロールを必要としていないこと。これが作業の難しさを大きく左右すると考えています。


革包丁は、素人目にはどっちが前だかわからないような形をしていますが、右手で鎬面が左を向くよう逆手に握り、その面を見ながら肘を引いて切ります。


その際刃物を若干外倒しにすることで、片刃による断面の傾きを補正し、作業視界も良くなる…というのが基本的な使い方なのですが…。


言うは易しで、腕全体は宙に浮いた状態、手指は握りこぶし、手首で刃の角度を固定、肘と肩の関節で刃を引く、というのは、かなりコントロールが難しい作業です。

こうして見ると、レザークラフトナイフは、革包丁と比べて固める関節と動かす関節がほぼ総入れ替えになっている道具なんですね。


これだけ色々と違えば、少し触っただけでは違和感を感じる方がいるのも当然かもしれません。そんな時は白紙!頭を一回白紙にしてトライしましょう。難しいはずはありません。革包丁を投げ出した私にだってできたんですから。




ちょっと理屈っぽくなってしまいましたが、カットの自由はレザークラフトの自由。

私にとっては体の一部であるこのナイフ、皆様にとっても、自由なレザークラフトの良き相棒となることを願っています!


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