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レザークラフトナイフ開発秘話



只今クラウドファンディング実施中のレザークラフトナイフ、ありがたいことにプロジェクト開始して1ヶ月足らずで600名以上の皆様からご支援をいただいています。大きな期待をしていただいている一方で、業界内で賛否両論あるのも事実。そんな中、今回レザークラフトナイフの開発に協力していただいた『PENGURI LEATHER AND FABRIC』さんより、力強いコメントが!でもこの文章を読んで、やっぱ挑戦してよかったなーと改めて実感しました。よかったらこの裏話、是非ご覧ください!


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【レザーナイフの裏話をするにゃ】

 

ひろのよいものいちの興奮(と後片付け)冷めやらぬ先週金曜日、よいものいちが終わって三日後にノコノコ広野にやって来たのは、親の顔より眺めてる神沢鉄工のA氏&S氏。夏は週一で来てましたからね。ててまるも余裕でA氏にネコパンチです。

 

https://www.makuake.com/project/fedeca02/

 

レザークラフト専用ナイフをクラウドファンディングで販売しますとお話ししたのがほぼひと月前、私はその日「今日から開始です!」とやる気満々な顔して愛媛で釣りしてたんですが(イカ釣れたよ!)、社運かかってるA氏はそうもいかないですよね!ひと月前と比べるとちゃんとわかる程度にやつれていました。

 

A氏がゾンビ化しているのには理由がありまして、実はこのナイフ、かなりの難産だったいわくつき。今だから言っちゃうけど「あーこれ発売しないかもわからんね」と私は諦めが半分入ってました。他人事だなぁ私!

 

革のカットには革包丁やカッターを使うことが多く、それが結構使いにくい!というお話は以前した通りです。だからより使いやすい刃物が欲しいんや!という夫の叫びに嘘は無く、それを聞いて神沢さんがやる気出してくれたのも本当です。

 

で、だ!やる気出した神沢さんというかA氏、夫からの猛烈なリテイク&プッシュを潜り抜け、なんとかそれらしいプロトタイプを完成させたのが一年くらい前のこと。そう、一年前には形になってたんです。

 

何が問題だったのか。

 

プロトタイプくんは、一年前の時点でモーレツな批判・酷評・失笑を食らっていました。それも相手が最悪でして、『レザークラフト愛好家の皆さん』からのダメ出しとくれば、A氏の心が折れるのも無理はありません。

 

A氏は試作が終わってプロジェクトを大きく動かす前に『有識者』の意見も聞いてみたいと考えました。まあぺんぐりさんも?一応は?レザーしてますけどぉ?自他共に認める『一応』カテゴリーなわけでして、ハゲ一人で制作できる量なんてたかが知れてるクラフトマンです。個人の域を出ないわけですよ。

 


うちは。

PENGURI LEATHER AND FABRIC は。

正岡佑基 は。

このナイフが絶対的に使いやすいと 確信 しています。


でもそれは、世の中の皆さんにとってはどうなのか?というところ、A氏は確認しに行ったわけでした。

 

で、レザークラフトが好きな人(何なら仕事にしている人)が集まる飲み会に参加したA氏(とナイフ)は、先述のとおりボッコボコにされまして、すっかり意気消沈して冬のナマズのようにおとなしくなって帰ってきました。

 

実際、革包丁やカッターナイフを使い慣れている方、それで不自由無く作業できている方には全く不必要な道具なんですコレ。レザークラフト愛好家の皆さんて当たり前ですけど愛好してるわけですから、さすがにそんな基本のキの字で不満抱えて生きてはいないんですよ。これにはA氏、ガッツリションボリ。「この商品は求められてないんじゃないか」という疑問は、彼とこのプロジェクトの足を止めました。一年。

 

一年後、プロトタイプを使い込んでいたとあるハゲが酷使しまくった結果、追加が欲しくてたまらなくなりました。だって一本しかなかったんだもん!


「言い値で買うからもう一本作って!これ無しじゃ生きていけないの!!!」とすがりつき、A氏と我々はもう一度話し合ったんです。いかにこのナイフが素晴らしいか、どういう点が合理的なのか、どういう人間向けの道具なのか。曖昧さにかけては他の追随を許さないうちの夫が、珍しく過熱していました。毛根は大事にして欲しい。

  

 

神沢鉄工は、創立130年の老舗だけれど社員30人足らずの小さな会社です。こんなニッチな道具を300本作って2本(うちだな!)しか売れなかったら?プロジェクトを再開して、A氏は確実に白髪が増えていきました。一方でS氏はなぜか超然としてました。S氏はこの間までキャンピングカーで生活していたちょっとヤバイ奴なのでそういうものかもしれません。 

 

クラウドファンディングは、普通に販売するよりもお客さんとの距離がぐっと近いツールです。販売を他者に任せることなく、お客さん=使い手の声がダイレクトに伝わります。良い事はもちろんですけどマイナスも。売れてなさってのもめっちゃわかるよね…。開始数日前、A氏は寝てなかったです。私たちも当然睡眠不足でした。イカはね、夜釣るんだよ。

 


だから。開始一ヶ月足らずで。

 

!!!!!662人もの方々に!!!!!

 

「こういうナイフを待っていた」

「革包丁で繊細なカットは難しかったから楽しみ」

「カッター派なのでこういうのが欲しかった」

「これからもこのような製品を世に出して欲しい」

 

どんなに、どんなに、どんなに。

A氏と、夫と、たぶんS氏も。その言葉を聞きたかったか、おわかりいただけますでしょうか?A氏と夫(とたぶんS氏、そして実は私)は毎日ファンディングページ見てるし、ニチャァって微笑んでコメント読んでるし、支援者さんから質問来たらすさまじい勢いで回答しています。ありがとうありがとう呟きながら。ちょっと涙目になってる時もあって。涙目のおっさんたちは、ほんとにキモいです。

 

ニッチなのは確か。今まで世になかったのも事実。そして恐ろしいことに、真の使い方を知っているのはうちのハゲだけという、そこが本日一番ヤバイところ。さすがのS氏も私も「え?ちょっと泣いてる場合じゃなくない?もうちょっと皆さんにいろいろお伝えした方が良くない?」と慌てふためき今に至ります。

 

レザークラフトにとって素晴らしいナイフなのは間違いありません。ご支援いただいた方、ご興味ある方、できれば『今は』無い方も。全てのご支援・メッセージは全員で有難く共有させていただいています。本当にありがとうございます!もうしばらくPENGURI LEATHER AND FEDECAに、お付き合いいただけましたら幸いです。








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